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2025年2月23日
工事過程において部材間の『隙間』が生じたり、建物に配線・配管のための『穴』があけられることは必然であることは前回お話しました。
そのうえでこれらの『隙間』や『穴』が適切な方法で塞がれなければ、住宅性能の低下や住宅の短命化に直結する瑕疵となってしまうことにもふれましたが、それでは具体的に何が起こるのでしょうか。
建物の壁・屋根・床に『隙間』や『穴』があれば、そこから建物内部の空気が屋外に流出し、屋外の空気が流入することは容易に想像ができると思います。そして建物の内外で空気の流出と流入があれば、そこでは熱の移動も起こっています。
なので…『隙間』や『穴』の多い家は
夏は暑くて冬は寒い家⇒不快な家 室内熱中症やヒートショック、疾病発生率の高い家
冷暖房機器を稼働させても涼しくならず、なかなか温まらない家⇒光熱費がかさむ家
になってしまう可能性があります。
また日々の暑い寒いや光熱費がかかる等の直接的なデメリットだけではなく、目に見えないところで進行する、もっと深刻な問題も懸念されます。
夏場のビールグラスの表面に露がつくように、温かく湿った空気が冷えた物体に触れたときには結露が発生します。例えばこれと同じ仕組みで、建物に生じた隙間から冬場の冷気が入り込み、壁の中で室内の温かく湿った空気にふれた場合、温度と湿度の関係によっては壁の中で結露が発生してしまいます。冬場の窓ガラスに発生する見える結露であればふき取ることもできますが、壁の中で発生する壁体内結露は視認されないまま壁の中に水分をため続け、建物の骨組みである木材の腐朽、構造の弱体化、蟻害誘発、ひいては建物の短命化にもつながっていくことが考えられます。
次回のコラムでは、このような放置しておくと住宅性能の低下や住宅の短命化に直結する『隙間』や『穴』をどのように塞いでいくのかをお話したいと思います。
設計部 大橋